| がんを治す完全ガイド 2004年12月号掲載 第11回 |
| あなたに出会えてよかった |
| 病院や医師、あるいは今の医療について“言いたい放題”のことを書かせてもらおうと思って、このコラムを始めた。 が、刃はいつしか“私白身”に向いてきた。実は私の心の中に、いつも誤魔化し、いつも逃げている一つのテーマがあった。最初は、“逃げている”ということ自体に、気がついていなかった。ただ、“悩んでいる”と思っていただけだった。 それは、「仲間の死」ということについてであった。 ☆ 患者会をやっていれぱ、必ず直面するのが、“仲間の死である”。 私の会は小さな、400人ぱかりの会だが、それでも、年に4、5人は亡くなる人が出てくる。最初、私は温泉に入りたいー ということしか考えていなかった。 「温泉は、みんなで入れば、怖くない」だろう。そう思ってできるだけ大勢の仲間を集めたかった。 一県に最低10人くらい。一県に1支部つくっていけば、会員はわざわざ遠くに行かなくても、近くに温泉友達ができて気楽に温泉に入れるだろう。そう思って、せっせと仲間を募った。 つぎつぎ、支部ができていった。 支部の数が二桁に近づいてきたころ、私は悩みはじめた。年に2回、会報を出すたび、少数ではあるが、届いている会員の訃報を、どう扱うかー という間題に直面する。 ほかの患者会の会報を覗いてみる。 よそは、ほとんど訃報を載せていない。載せていても、実に小さな扱いである、なるべく目立たないように扱っているとしか思えない。 ☆ その気持も、わかるのだ。 私たちがん患者は、できれば “死” から目をそむけていたい。 私たちが、いちぱん怖いのは“死”であり.親しい仲問の死が最も応える。 ひところ、私は何度か思った。 (私は.この会を脱会しようか。こんな会をつくったことは、間違いだったかもしれない。乳がんの手術から日が経ち、だんだん再発、転移の恐怖が薄らぎ、がんのことを忘れている日が増えてきたー というのに、こんな会にいると、いつも再発、転移のことを思い出す。おまけに、せっかく親しくなった仲間の死ー という悲しみにも直面する。もう、いやだ。やめたい、こんな会はやめたい) 後悔したり、しかし、仲間のやさしさに包まれて温泉に人れた日は幸せを感じたり、頑張っている仲間を見て励まされたり、心はいつも千々に乱れているのだった。 訃報の扱いは、私の迷いをそのまま反映していた。いつも、会報のいちぱん最後の、編集後記のそのまた最後の、いちばん目立たないところに、できるだけ短く、一行で書き添えた。 (会員ががっかりしないように ・・・・) できれぱ、計報は隠しておきたかったのだ。 ☆ 2004年の夏。8月。 第4号の会報を編集することになったとき、またしても私はその迷いに直面することになった。 そして、今度は私の心が叫び出すのを聞いた。 (もう、いやだ! 誤魔化すのはいやだ! 逃げるのはいやだ。向き合おう。見つめよう。いちばん大事なことを:…・) そして書いたのが、私たちの会報『l・2の3で温泉に入る会』」第4号、6ぺージの文章である。 見開き2べージ。そのぺージのタイトルを「あなたに出会えてよかった」にした。ページの冒頭に、 <このぺージの新設について> と題して、400字3枚くらいの原稿を書いた。長いので一部しか引用できない。(※) 《今号から(中略)堂々と、大きなスペースで“いとしい人たち”への愛と感謝を語ろうと思う。死という別れは、悲しいことではあるけれど、ちょっと視点を変えれぱ 「その人の死を悲しめるようなすてきな出会いと喜びを、その人の生前に私が持っていた」 ということでもある。 だからこのぺージは <あなたに出会えてよかった> という愛を語るぺージなのです。》 このぺージの新設について、すばやい反応を示してくれたのは、ほかの患者会の費任者、保健師、看護師さんたちであった。もし、全文を読みたい方がいらっしゃったら、お送りします。FAXにて、お申込ください。 FAX番号は 03−3381−8777 (※) こちらでもご覧になれます。 |